顔面神経麻痺とは

顔面神経麻痺とは顔の表情をつくる神経が麻痺することです。何らかの原因で神経に傷がつき、顔の筋肉が動かせなくなること顔面神経麻痺と言います。顔の右半分、左半分のどちらか一方にのみ症状が出ることがほとんどです。

また、顔の神経は涙腺、鼻腺、唾液腺にも働きかけるため、麻痺することで涙や唾液の分泌が減ったり、味覚に障害をもたらすこともあります。

顔面神経麻痺は、「ベル麻痺」「ハント症候群」によるものが最も多く、その他では頭蓋骨や顔面の骨折によるもの、顔面・耳の手術によるもの、先天性・内分泌性疾患によるものなどがあるといわれています。

ベル麻痺

顔面神経麻痺の70%を占めるといわれています。顔面神経管の中を通る神経が炎症をおこして腫れることで起こります。何の前触れもなく突然おこることも特徴の一つです。

ハント症候群

ベル麻痺に次いで多いのが「ハント症候群」です。全体の10%~20%を占めます。耳のまわりや耳の穴に帯状疱疹による水ぶくれが出たり、耳鳴り、難聴、耳の痛み、めまいなどが起こります。

ハント症候群では、「水疱帯状疱疹ウイルス(VZV)」(水ぼうそう)が疲労など免疫力が低下したときに再活性化しておこると考えられています。ベル麻痺に比べて重症化しやすいと言われています。

顔面神経麻痺は発症から時間が経過するほど麻痺の改善率が下がってくると言われています。発症してしまったらできるだけ早く治療に取り掛かることをお勧めいたします。

なぜ顔面神経麻痺がおきてしまうのか?

顔面神経麻痺を引き起こす原因はいまだにはっきりと解明されておらずストレスによるものや、ウイルスによるもの、体力が低下していることにより発症することと考えられていますが、当院では、顔面神経麻痺の原因を首や耳、顎周辺の筋肉のコリが原因で血流が悪くなることで起きる顔面神経の機能障害と考えています。

実際に首や顎の緊張を緩めると顔面神経麻痺は回復します。このことからも、首や顎の状態が顔面神経に影響を及ぼしているといえます。

顔面神経麻痺患者さん特有のコリ

顔面神経麻痺患者さんが一般の病院にかかると、主に神経の炎症を抑えるためのステロイド剤を使用した治療が行われます。また、重症例になると高圧酸素療法や星状神経節ブロックなどの追加治療が検討されることがあります。

上記に挙げた治療法は、顔面に効果を集中させることはできません。全身に及ぶ作用の一部が顔周辺にも及んでいるだけです。

顔面神経麻痺は、首や耳周辺のコリが原因となりますが、全身に問題があるわけではなく、顔面神経の機能に関わる部位が阻害されている状態に過ぎません。

鎖骨と顔面神経麻痺

さらに、顔面神経麻痺の人に共通しているのは「鎖骨の動き」が悪いことです。鎖骨につく筋肉である胸鎖乳突筋や大胸筋の過緊張は顔面の筋肉に異常をもたらします。

肩甲骨と顔面神経麻痺

そしてさらに踏み込んで考えると、肩甲骨の動きを整えることも顔面神経麻痺の回復には欠かせないポイントです。首や顎と肩甲骨は連動しています。肩甲骨の動きを整えることで首や顎を良い状態に安定させます。

多くの顔面新神経麻痺において鍼治療は効果的に働きます。他の治療では得ることができないピンポイントな筋緊張の緩和、血流改善効果が期待できます。